八百万の神様たち

新しい一年をもたらす「年神様」のおはなし☆

花子ちゃん
花子ちゃん
新しい1年をもたらす神様は、さまざまな名前を持っています。「年神様」、「お正月様」、「歳得神」…。あなたの住む地域ではなんと呼びますか?

正月はじめの客人 年神様

「新年を迎える」と聞くと、まるでどこかから「年」がやって来るような感じがしますが、その通りで、昔から新しい年は、年神様が運んで来てるれるものと考えられてきました。

年神様は、お正月にそれぞれの家庭にやって来ます。我が家に訪れた年神様の宿る場所として門松を立てたり、お供えとして鏡餅を置いたりして年神様を迎えます。

神棚には氏神様や太陽の神様・アマテラスがお祀りされているので、年神棚をつくり、そこにはいちばん大きな鏡餅を置きます。小さな鏡餅を各部屋に置くのは、家の隅々まで年神様に来てもらうためで、その年も家族みんなが健康で幸せに暮らせるように、家中で年神様を迎えます。このように正月のしつらえの多くは、年神様へのおもてなしです。

こうしてかなり親密に付き合っているつもりの年神様ですが、じつはどのような神様がはっきりとわかりません。

アマテラスの弟であるスサノオの子供の大年神とも考えられるのですが、年神様の物語は神話には伝わっていません。大年神の兄弟・ウカノミタマが榖物を意味するのではないかといわれていることから、年神様は穀物の神様である可能性である可能性も…。穀物の神様だからこそ、お餅をお供えするのかもしれません^^

ところで、鏡餅のような年神様へのお供えは「年玉」と呼び、それを家族や使用人にわけ与えたものを「お年玉」といっていました。お正月にもらえる嬉しいお小遣いは、年神様のお下がりを受け取っていたんですね^^

新年の神様を迎える


年神棚

年神棚がない場合は、床の間や飾り棚などを代用します。注連縄(シメナワ)を飾り、お神酒(オミサ)、昆布や塩などとともに、鏡餅をお供えしましょう。1月11日の鏡開きまでお供えする鏡餅とは別に、三が日にお雑煮にしていただくお餅も忘れずに (≧З^)

年神様を「歳徳神(トシトクジン)」と呼ぶ地域では、年によって神様がやって来る方角が違うため、年神棚(恵方棚)もその方角に向けてしつらえます。

正月飾り

玄関や門に左右対称で置く門松は、年神様が降りてくるための依り代(目印)。「祀る」「待つ」に通じる松を飾ることで、年神様におもてなしサインを送ります。

神聖な場をあらわす注連縄飾りも、我が家が神様を迎えるにふさわしい場所であることを示しています。「松の内」は、正月飾りを飾っておく期間を意味しています。地方によって違いはあるものの、1月7日までが一般的です。年神様の道しるべとなった正月飾りを外して日常へと気持ちを切り替えます。

役目を終えた正月飾りは、1月15日に神社などで行われる「どんど焼き」や地域のゴミ区分に従って処分しましょう。

若水(ワカミズ)

年神様へのおもてなしには若水もかかせません。「若水」とは、元旦の早朝、その年最初に汲んだ水のことです。

1年の邪気を祓う清らかな力にあふれ、お雑煮をつくったり、書初めの墨をすったりするのにも使います。若水を汲みに行く「若水迎え」は正月行事の中でも重要な儀式とされていました。井戸や清水で水を汲むのが難しい現代の私たちは、元旦の朝いちばんに蛇口をひねり、水道水を年神様にお供えします。

鏡 餅

むかしから私たち日本人は、お米に神様の力が宿ると信じてきました。その米を凝縮した餅は、聖なるパワーフードです。年神様に捧げ、力を宿していただく鏡餅はさらに特別です。丸い形は、神様の依り代となる古代の鏡や魂をかたどったもの。一家が栄えるように願いを込めます。

1月11日は鏡開き。年神様とのご縁を刃物で断ち切らないように鏡餅を木槌でたたいて開き、お汁粉などにしていただく日です。忌み言葉である「切る」を使わず「開く」とした先人にならい、家族全員で神様のお下がりを残さず食べて、運を開きます。

おせち料理

お正月の食卓を飾るおせち料理は、神様に捧げる「お節供」です。お節供は桃の節句など、1年の節目ごとにつくっていましたが、1年のはじまりであることから特に大切にするようになり、お正月の料理だけを「おせち」と呼ぶようになりました。

それぞれの料理が一家の繁栄を願う縁起を担いでいて、おめでたさを重ねる願を込めて重箱に詰めます。かつては五段重を正式としていましたが、現在は時代の変化もあって三段重が一般的なようです。

『一の重』 三つ肴・口取

三つ肴
●数の子…ニシンの卵。数の多さに子孫繁栄を願う。
●田づくり…田畑の肥料でもあったイワシの雑魚に豊作を祈願。
●黒豆…関東地方の三つ肴。丈夫を意味する「まめ」に由来。
●たたきごぼう…関西地方の三つ肴。しっかりと根を張るごぼうに家の安定を願う。

口取
●紅白かまごこ…紅はおめでたさを、白は清らかさをあらわす。
●栗きんとん…商売繁盛を意味する。
●昆布巻き…「よろこぶ」に通じる語呂合わせの縁起物。
●伊達巻き…巻き物に似た形に知識や文化の発展を願う。

『二の重』酢の物・焼き物

●なます…お祝いの水引をかたどっている。
●海老…長いヒゲが生えて、腰が曲がるまでの長寿を願う。
●ぶり…出世魚に出世を祈願。

『三の重』お煮しめ

●くわい…大きい芋に出世を願う。「でたい」の語呂合わせも。
●里芋…小芋がたくさん付くことから子宝に恵まれるとされる。
●れんこん…空いた穴から「先が見通せる」ように願う。

祝い箸

年神様が我が家にいらっしゃるお正月のごちそうは、箸も特別。邪気を祓う霊木といわれている柳でつくられた「祝い箸」を使います。

箸の両端が細くなっているのは、一方は私たち、もう一方を年神様が使うためです。おせち料理をはじめとする新年の祝い膳は、神様とわかち合っていただいているのです。

ごちろうを食べ終えたら水で清めて、乾いたら箸袋へしまいます。三が日の間は同じ箸でおせちをいただきましょう。